アニメーション制作会社紹介Part.9|オリジナルアニメに定評!『P.A.WORKS』【会社概要・代表作品】

本記事では、アニメ制作会社であるP.A.WORKSについて解説していきます。

2000年に設立されたまだ歴史が新しいアニメ制作会社ですが、オリジナルアニメの制作に定評のあるアニメ制作会社です。

2010年代には「Angel Beats!」など名作と呼ばれるオリジナルアニメを手掛け、「オリジナルアニメといえばP.A.WORKS」と呼ばれるほどの地位を確立しました。

本記事ではP.A.WORKSの歴史やアニメの特徴、高評価作品から低評価作品まで、P.A.WORKSの全てを紐解いていきたいと思います!

P.A.WORKSってどんな制作会社?

P.A.WORKSは設立時、行政から廃病院を改築した建物である「南砺市起業家支援センター」を斡旋され、それを社屋として構えました。

また、首都圏以外に本拠地を置きながら、アニメーションの元請制作を手掛ける企業の1つとして、中小企業庁主催の「ちいさな企業未来会議」にコアメンバーとして参加したりするなど、社会的立場においても他のアニメ制作会社とは違った活動をしています。

北陸に本拠地を置くという立地の対応として、福利厚生の一環としてアニメーターを対象に寮を整備もしていて、劣悪な職場環境が取りざたされがちなアニメ制作会社において新しい制度にチャレンジしている会社でもあります。

P.A.WORKSの概要

会社名 株式会社ピーエーワークス
設立 2000年11月10日
代表取締役 堀川憲司
所在地 【本社スタジオ・P.A.養成所】
〒939-1835 富山県南砺市立野原東1508-8
【東京P-10スタジオ】
〒187-0045 東京都小平市学園西町2-12-25
事業内容 映像制作

P.A.WORKS 公式サイト

P.A.WORKSのアニメの特徴

P.A.WORKSのアニメの特徴として、大きく2点個性的な特徴があります。

P.A.WORKSの主な特徴
  • オリジナル作品の多さ、そのレベルの高さ
  • お仕事シリーズとよばれる働く女の子がメイン、また実在する地域との繋がり

オリジナル作品の多さ、そのレベルの高さ

P.A.WORKSの作品は、小説・漫画などの原作付きの作品のアニメ化を手掛けることもありますが、他のアニメ制作会社よりもオリジナル作品の割合が圧倒的に多いという特徴を持っています。

P.A.WORKSの最初のヒット作品として挙げられる「true tears」は、それまでグロス請け(アニメ制作における下請け制度のこと)しか扱っていなかったP.A.WORKSの初めてのオリジナル作品で、前評判こそ高くなかったものの、じわじわとアニメファンの中で人気を獲得していきました。

その後も「Angel Beats!」「花咲くいろは」など数々のオリジナル作品を手掛け、ヒットを連発しています。

オリジナル作品をアニメ化するメリットとして、原作の使用料がかからないことや、原作に関わる出版社等と共同で出資する「委員会」制度をとっていないため、制作会社が利益を1人占めできます。

しかし、0から企画を練らなければならないため制作に対する労力は大きく、また人気の原作を使用する場合は原作の固定ファンがいるため、ある程度の認知が見込めますが、それも見込めないという大きなデメリットも抱えています。

それでも、P.A.WORKSは会社として、「こういうものを作りたい」「こんなテーマを伝えたい」という思いを胸に、1つの作品の制作には3年も及ぶといわれるオリジナルアニメの制作を積極的に手掛けています。

お仕事シリーズとよばれる働く女の子がメイン、また実在する地域との繋がり

お仕事シリーズとは、P.A.WORKSが手掛けたアニメ作品の3作品で、第1弾「花咲くいろは」、第2弾「SHIROBAKO」、第3弾「サクラクエスト」のことです。

花咲くいろはは石川県の湯桶温泉の老舗温泉旅館、SHIROBAKOは東京のアニメーションスタジオ、サクラクエストは富山県の架空の自治体である間野山市がそれぞれ舞台となっています。

それぞれの舞台で、女の子たちが働いていく中で味わう大変さや難しさを中心に生きることについて、働くことの大切さを我々視聴者に感じさせてくれます。

学生に対しても、社会人として実際に働いている人々に対しても、自分を奮い立たせてくれるような構成の作品になっています。

また、花咲くいろはでは、湯桶温泉街ではアニメの聖地として売り出され、毎年夏まつりの時期になると花咲くいろはを使用したポスターが街に張り出されます。

地域の繋がりとしては、他にもP.A.WORKSは富山観光アニメプロジェクトにも関わっています。

富山県魚津市在住のアニメクリエイターユニット「The BERICH(ビリッチ)」と提携し富山三大ブランドの立山・富山湾・五箇山を舞台にアニメを制作して富山の魅力を発信しました。

この映像は富山県だけでなく、富山テレビと業務提携を結んでいる中国の寧電視台の衛星チャンネルを通じて、中国全土に放送された他にYouTubeやニコニコ動画でも配信されました。

①泣かせる空に会いたい/立山の恋人編

②泣かせる空に会いたい/LOVE MOUNTAIN TATEYAMA 立山編

P.A.WORKSの代表作品一覧

P.A.WORKS代表作
  • true tears
  • Angel Beats!
  • 花咲くいろは
  • Another
  • 白い砂のアクアトープ
  • 有頂天家族
  • 凪のあすから
  • ウマ娘 プリティーダービー
  • 神様になった日
  • パリピ孔明

P.A.WORKSの歴史

会社の設立は2000年という、比較的若いアニメ制作会社です。

タツノコプロというアニメ制作会社出身で、その後Production I.G.でプロデューサーを務めた堀川憲司さんが、富山県で「越中動画本舗株式会社」として設立しました。

2002年に「Progressive Animation Works」の略の意味で、株式会社ピーエーワークスに商号変更しました。

設立の経緯は堀川さんが家族との約束で富山へ戻る際に、富山で制作会社を探しても見つからず、それならばと自らスタジオを立ち上げたことがきっかけでした。

大手のアニメ制作会社はほとんどが東京に本拠地を構えることが普通ですが、P.A.WORKSはインターネットを駆使して地方でも活動することが出来ることを証明するという思いを持って、北陸地方である富山県に本社を構えています。

P.A.WORKSの傑作ベスト3

花咲くいろは

東京で暮らしていた女子高生・松前緒花は、今までとは違う自分になりたいという夢が突然現実のものとなってしまいます。

通いなれた、それでいてあまり愛着のない街を出て話したことも会ったこともない祖母の元、大正浪漫溢れる温泉旅館である「喜翆荘(きっすいそう)」で住み込みで働くことになります。

そこで今までとは全く違う新しい生活が始まり、新しい出会い、働く中で味わう苦しいことも乗り越えて成長していく物語です。

Angel Beats!

森に囲まれた丘陵地にある、生徒総数2000名を越える全寮制のとある学園。

一見ごく普通の生徒らが生活を送っている学園ですが、そこは死後の世界でした。

この学園の目的は現世で理不尽な人生を体験し、青春時代をまともに送れずに死んだ者がこの世界に送られてあらかじめ用意されたエキストラの生徒達と共に学園で楽しい青春時代を過ごす内に未練を無くし、成仏し、転生することでした。

しかし、学園の中には転生することを拒む人々がいました。

仲村ゆりをリーダーとする「死んだ世界戦線」は、理不尽な人生を強いた神への復讐を目的とし、死ぬことのないこの世界で、学校の秩序を守る「天使」と日夜戦いを繰り広げていました。

自分の苗字以外の全ての生前の記憶を失った少年・音無結弦は、戦線のメンバーと行動を共にする中で、次第にこの世界の真実を知ることとなっていきます。

さよならの朝に約束の花をかざろう

P.A.WORKSが手掛けたオリジナルアニメの劇場版で、1人ぼっちと1人ぼっちが出会った、出会いと別れの物語です。

10代半ばで外見の成長が止まる不老長寿の種族イオルフは、別れの種族と呼ばれていました。

イオルフは自分たちが他の種族と寿命が違いすぎることで、必ず別れてしまうことを危惧し人里離れた場所で暮らし他の種族との関わりを断っていました。

そんな中、神話のような存在であるイオルフを国家の象徴としたいメザーテ王国の襲撃を受けてしまいます。

命からがら襲撃から逃げて森を彷徨っていた少女・マキアは、流れ者の集落で生き残っていた赤ん坊を見つけて、エリアルと名付けて育てる決意をします。

人と別れの種族イオルフの2人が数々の困難を乗り越えながら、来る別れに向けて物語を紡いでいく物語です。

P.A.WORKSの低評価作品ベスト3

RDG レッドデータガール

世界遺産に認定される熊野古道、そこにひっそりとたつ玉倉神社がありました。

鈴原泉水子は、長いお下げ髪・めがね・引っ込み思案な少女で、神社の宮司である祖父に育てられ、外の世界をほとんど知らず育ちました。

泉水子がさわるとパソコンも携帯もなぜかフリーズしてしまい、「もっと、普通の女の子になりたい」と願っていました。

周りと違う自分に悩んでいたそんなある日、幼なじみの相楽深行が玉倉神社に現れて、泉水子の通う中学校に転校してくることになり、自身もまだ知らない大きな運命が、静かに動き始めます。

グラスリップ

P.A.WORKSのオリジナルアニメです。

福井県坂井市三国町エリアをモデルにした街「日乃出浜」(ひのではま)を舞台に、6人の高校生の青春を描いた物語です。

ガラス工房を営む一家の娘・深水透子は、友人の家にあるカフェ「カゼミチ」を友人たちとの憩いの場所にしていましたが、高校3年の夏休み、彼女たちの前に現れた転校生の少年・沖倉 駆が現れます。

駆は透子に、自分には未来の声が聴こえるのだと言います。

もし、あらかじめ未来を知ることができるのなら、自分は何を望むのだろう?

透子は胸の中にある感情が生まれてきて、同時に仲の良かった5人はカフェに集まることが少なくなっていきます。

Fairy gone フェアリーゴーン

この世界には、動物に憑依することで不思議な力を宿す、妖精が存在していました。

妖精が憑依した動物の臓器を摘出して人間に移植することで、妖精を分身として出現させ、兵器として扱えるようになる、彼らは「妖精兵」と呼ばれました。

長きにわたる戦争が終結すると、彼らはその役目を終え、行き場を失ってしまいます。

政府に拾われるもの、マフィアに拾われるもの、あるいはテロリストにー。

戦争から9年の歳月が経ち、主人公のマーリヤは、妖精に関連する事件を捜査・鎮圧する、違法妖精取締機関「ドロテア」に配属されたばかりの女の子です。

未だ不安定な政治情勢の中、戦争によって受けた傷や過去を持つ犯罪者が現れ、復讐のためテロを起こす事件が頻発していました。

これは、無秩序な戦後に抗い、それぞれの正義を求め戦う「妖精兵」たちの物語です。

P.A.WORKSの現在

「オリジナルアニメといえばP.A.WORKS」と言われるほどの地位を確立したP.A.WORKSですが、ここ数年は苦しんでいる印象が強いです。

「神様になった日」や「白い砂のアクアトープ」などオリジナルアニメの制作を精力的に手掛けていますが、他の制作会社が手掛けるアニメのレベルも高く、トップレベルの人気を獲得するには至らない作品に終わってしまう作品が多いです。

しかし、ここ最近は原作付きの作品で人気を獲得することも増えてきています。

2022年に放送された「パリピ孔明」は原作人気も高く、OP曲が話題となり放送後にSNS上でプチバズりしました。

また2023年に放送された「スキップとローファー」も派手な動きのあるアニメではなく、日常のドラマを、美しい背景を中心に描いた、P.A.WORKSらしいアニメで人気を博しました。

オリジナル作品での大ヒットはここ数年生み出せていませんが、オリジナルの制作はしっかりと続けており、再び「覇権アニメ」を世に送り出せるように着々と準備を進めています。

まとめ

本記事ではオリジナルアニメの制作に定評があり、アニメ制作会社としては珍しい、地方を拠点として活動しているP.A.WORKSについてまとめてきました。

最近話題となるアニメは「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」のように派手なアクションシーンが魅力のものや「推しの子」や「葬送のフリーレン」に代表される絵柄の綺麗さなどレベルの高い作画が求められています。

しかし、P.A.WORKSは昔から美しい背景描写を売りにしており、それを活かし実在の地域を舞台にした作品で、地方の日本人の原風景ともいえる映像を作り出すことができる魅力があります。

実績も十分で、映像技術も申し分ない制作会社ですので、今後のP.A.WORKSの巻き返しに期待です!

ぜひ今後制作される新アニメに注目していきましょう!

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この記事を書いた人
FS19

田舎住み登山・キャンプが趣味のアクティブオタク。 ジャンルを問わずアニメ・漫画を楽しむ。 ここ最近アニメだけでなく声優にも手を広げ着々と沼にはまっている。

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