アニメーション制作会社紹介Part.3|超有名ブランド『京都アニメーション』【会社概要・代表作品】

数あるアニメーション制作会社のなかでも、とくに有名なのが「京都アニメーション」。

京アニという名前で知られ、手がけた作品のほとんどが大ヒットしています。なかには高い評価を受けただけでなく、社会現象を巻き起こした作品も。なぜ、京アニの作品は高い評価を受けるのでしょうか。

本記事では、アニメーション制作会社の京都アニメーションについて徹底解説します。大ヒットの理由を追及していきましょう。

京都アニメーションってどんな制作会社?

京都アニメーション、通称「京アニ」は、京都に本社を構えるアニメーション制作会社です。アニメーション制作を始め、グッズ企画・販売、出版などの事業も行っています。後進の育成にも力を入れ、「プロ養成塾」というスクールを運営。現役プロクリエイターが講師を務めています。

京アニが手がける作品はどれも質が高く、特に作画は「京アニクオリティ」と称されるほど。国内だけでなく、海外からも高い評価を受けています。

また、その質の高さから多くのファンが作品に魅了され、時には社会現象を起こしたこともありました。特に『けいおん!』や『涼宮ハルヒの憂鬱』は大きく話題になり、アニメをあまり知らない人にも広く知られています。

京都アニメーションの概要

会社名 株式会社京都アニメーション
所在地 〒611-0002 京都府宇治市木幡大瀬戸32
設立 1985年7月12日
資本金 1000万円
代表者 代表取締役社長 八田英明

株式会社京都アニメーション 公式サイト

京都アニメーションのアニメの特徴

ここでは、京アニの特徴について紹介します。京アニの特徴は大きく分けて3つです。

京アニの主な特徴
  • 圧倒的な作画力
  • リアルを追及した緻密な表現
  • 自社完結の制作体制

それぞれの特徴について、解説します。

圧倒的な作画力

1つ目の特徴は、「京アニクオリティ」の由来となった作画力の高さです。今でこそ作画が優れた作品は多くありますが、京アニの作品はそのなかでもずば抜けたレベルを誇っています。

作画力が高い理由は、多彩な表現と圧倒的な書き込み量です。京アニ作品の風景は、色彩が豊かに描かれ、海や川では光の明暗を生かした水の表現がされています。また、髪の表現においても、一本ずつ緻密に描かれており、髪が揺れ動くさまは息をのむほど美しいです。
こうした丁寧な表現が、「京アニクオリティ」と称される作画力を生んでいます。

リアルを追及した緻密な表現

出典:[『響け!ユーフォニアム』特別告知|京アニチャンネル]

2つ目の特徴は、リアルを追及した緻密な表現です。

これは作画とも関係しているのですが、京アニ作品では緻密な表現が多く見られます。その緻密さが作品を身近に感じるリアルさを生んでいるのです。

特に、『響け!ユーフォニアム』の楽譜は、多くの共感を生むリアルさでしょう。筆者も吹奏楽部だったのでよく分かりますが、吹奏楽では注意を受けたことや気を付けることを楽譜に書き込みます。『響け!ユーフォニアム』ではそんな楽譜を見事に再現していました。

登場人物だけでなく、随所にみられる細かい点まで緻密に書き込むことで、視聴者が共感できるようなリアルさを生んでいるのです。

自社完結の制作体制

京アニは設立当時、近場に外注できる会社がなく、自社で完結せざるを得ませんでした。

そのため、演出、作画、仕上げ、美術、撮影、デジタルエフェクトまで自社で行っています。今では会社も大きくなり、子会社のアニメーションDや、韓国のStudio Blueに委託するようになりました。ですが、自社完結の体制がスタッフ間のコミュニケーションを密にとれるようにし、共通認識を持つことで作品の質をあげているのです。
同じような自社完結のアニメーション制作会社として、「ufotable」が挙げられます。『鬼滅の刃』も作品の質が高いと評判ですよね。自社完結の制作体制は、作品のクオリティを握る鍵なのかもしれません。

京都アニメーションの代表作品一覧

京アニは、有名な作品が多いことで知られています。ここでは、有名な作品の中でも、特に京アニの代表作品として名高い作品を一覧で紹介。京アニを知るうえでも大切な作品ばかりなので、ぜひチェックしてください。

京アニ代表作
  • フルメタル・パニック?ふもっふ
  • AIR
  • 涼宮ハルヒの憂鬱
  • らき☆すた
  • CLANNAD
  • けいおん!
  • Free!
  • 響け!ユーフォニアム
  • ツルネ ―風舞高校弓道部―

京都アニメーションの主要スタッフ紹介

京アニはその質の高さから、多くの著名なスタッフを輩出していることでも有名です。ここでは、次の4名の主要スタッフについて紹介します。

京アニ主要スタッフ
  • 池田晶子(キャラクターデザイン・総作画監督)
  • 石原立也(アニメーション演出家・アニメーション監督)
  • 武本康弘(アニメーション演出家・アニメーション監督)
  • 山田尚子(アニメーション監督・アニメーション演出家)

池田晶子(キャラクターデザイン・総作画監督)

池田晶子氏は、京アニの取締役で、多くの作品のキャラクターデザインや総作画監督を担当しました。1996年に京都アニメーション入社し、『犬夜叉』の第3話では初めて作画監督を務めます。その評判も良く、2006年には『涼宮ハルヒの憂鬱』で初のキャラクターデザイン・総作画監督を務めました。

池田氏は、夫や知人にモデルを頼み、デッサンの基礎練習に励むほど仕事熱心で有名です。一方で、後輩が仕事を続けられように、アニメーターの労働環境を改善しようとしていました。池田氏の人柄や、仕事への熱意が伝わってきますね。

しかし、2019年、44歳という若さで放火事件の犠牲となってしまいました。

石原立也(アニメーション演出家・アニメーション監督)

石原立也氏は、京アニの取締役で、多くの作品の監督を務めました。大阪デザイナー専門学校卒業後、京アニに入社し、数年はアニメーターとして活動します。2005年の『AIR』で初監督を務め、その後も、『涼宮ハルヒの憂鬱』、『CLANNAD -クラナド-』、『中二病でも恋がしたい!』など、京アニを代表する作品の監督を務めました。

監督を務めた『AIR』や『CLANNAD -クラナド-』、『Kanon』を制作したゲームブランド「Key」のファンとしても有名です。

武本康弘(アニメ演出家・アニメ監督)

武本康弘氏は、京アニの取締役で演出家、監督として多くの作品を手がけました。1992年に京アニに入社し、京アニが初めて元請けとして制作した『フルメタル・パニック? ふもっふ』で監督を務めます。その後も、『らき☆すた』や『氷菓』、『小林さんちのメイドラゴン』の監督を務めました。

武本氏は、石原立也から「最も信頼できる仲間の一人」と称され、多くのスタッフからも慕われていた人物です。

しかし、2019年、47歳という若さで放火事件の犠牲となってしまいました。

山田尚子(アニメーション監督・アニメーション演出家)

山田尚子氏は、京アニで演出家、監督としてかずかずの作品を手がけました。2004年に京アニに入社し、2009年には『けいおん!』の監督に抜擢されます。その後も、『たまこまーけっと』、『映画 聲の形』で監督を務め、かずかずの賞を受賞しました。2021年に、京アニを退社していたことが発覚。その後はサイエンスSARUで制作を続け、2023年の秋には、監督最新作『きみの色』の公開を予定しています。

山田氏が手がける作品は、繊細な心情描写が特徴です。『映画 聲の形』を見た新海誠からは、「真似したくてもとても真似られそうもない」と評価を受けました。

京都アニメーションの歴史

京アニは、創業者の八田陽子氏がアニメ製作の塾を開講したところから始まります。人脈を駆使して仕事を探し、タツノコプロやサンライズの仕上げをするようになりました。

その後はかずかずのアニメーターを迎え、多くの制作会社の下請けを行います。京アニの質の高い仕事は業界でも評判となり、2003年に初の元請けとなる『フルメタル・パニック? ふもっふ』を制作。2005年には『AIR』を手がけ、アニメファンの間で京アニの名がブランド化しました。

その後もかずかずのヒット作を飛ばし、国内外からも京アニは高い評価を受けます。しかし、2019年に36名の死者を出した「京都アニメーション放火殺人事件」が発生。多くの著名なスタッフが命を落とします。

この事件は国内だけでなく海外にも衝撃を与え、海外メディアでも大々的に取り上げられました。京アニは公開を予定していた作品を延期せざるをえなくなり、しばらく会社の立て直しに専念します。

その後は、ファンの応援や支援もあり、延期していた作品を発表。以前のように作品を発表できるまでに回復しました。

京都アニメーションの傑作ベスト3

かずかずの名作を世に送り出してきた京アニ。ここでは、そのなかでも評価が高い傑作ベスト3を発表します。京アニの魅力がたっぷり詰まった3作なので、ぜひチェックしてください。

参考サイト:[人気京都アニメーションおすすめアニメランキング|あにこれ]

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』

ヴァイオレット・エヴァーガーデンは、主人公のヴァイオレット・エヴァーガーデンが手紙を代筆する自動手記人形となり、かずかずの出会いを繰り返していくなかで「愛」を知る物語です。

京アニの圧倒的な美しい作画はもちろんのこと、感動を呼ぶストーリーが高く評価されています。ヴァイオレットが代筆を通して感情を知り、成長していく姿には思わず涙を流してしまうでしょう。特に、10話は多くの反響を呼び、感動の声がTwitterでトレンド入りしました。

作画・ストーリーともに非の打ち所がない作品で、京アニの最高傑作といっても過言ではないでしょう。

『小林さんちのメイドラゴン』シリーズ

小林さんちのメイドラゴンは、主人公の小林さんが酔った勢いで異世界のドラゴンを助けたところ、ドラゴンが恩返しにくるという、現代版の鶴の恩返しのような話です。

京アニクオリティの作画と、かわいいキャラクターたちが高く評価されています。日常系というのもあり、ストーリー性にあふれる作品ではありません。ですが、種族による価値観の違いなどが見られ、ドラゴンならではの視点にハッとすることも。次第にドラゴンたちが人間と共生していく姿には、ほっこりと癒されるでしょう。

作画・キャラ・癒しを主軸とした日常系というのが高く評価され、ベスト2になりました。

『CLANNAD』シリーズ

CLANNADは、主人公の岡崎朋也とヒロインの古河渚の絆を描いた作品です。2人の出会いから家族になった後までを描いています。ゲームブランド「key」のゲームをアニメ化した作品で、もとは恋愛アドベンチャーゲームです。

美しい作画が特徴の京アニですが、CLANNADは作画よりもストーリーのほうが高く評価されています。ある意味、京アニのなかでも異色の作品かもしれませんね。その感動を呼ぶ優れたストーリーから、「CLANNADは人生」という言葉も生まれました。

ストーリー以外にも作品にあった音楽が高く評価されており、放送から15年近く経つ今でも、作中で流れる曲が「演奏してみた」や「歌ってみた」でYouTubeに投稿されています。

京都アニメーションの低評価作品ベスト3

かずかずの名作を生んだ京アニでも、なかには評価が思わしくなかった作品もあります。ここでは、京アニのなかでも評価が低い作品ベスト3を紹介。評価が低い理由もあわせて解説しますね。

参考サイト:[人気京都アニメーションおすすめアニメランキング|あにこれ]

『MUNTO』シリーズ

『MUNTO』シリーズは、京アニが企画から販売まで初めて自社で行う「京アニプロジェクト」との一作目として制作されました。主人公の日高ユメミと、魔導王を名乗るムントが世界を救う話です。

京アニということもあり、作画や音楽は優れています。ですが、全体的に世界観やストーリーの説明が不足しており、作品に入り込めないままに終わってしまうという評価が多々ありました。ストーリー以外の評価が高いだけに、残念ですね。京アニの初期の作品なので、この評価は仕方がありませんが、もしリメイクされたらまた評価が変わるかもしれません。

『ツルネ』シリーズ

『ツルネ』シリーズは、主人公の鳴宮湊が所属する風舞高校弓道部が県大会優勝を目指す話です。第7回京都アニメーション大賞小説部門審査員特別賞を受賞した小説をアニメ化しました。

もちろん作画は美しく、その点においては評価が高い作品です。しかし、ストーリーは評価が別れ、「面白い」と評価する人がいる一方、「盛り上がりに欠ける」と評価する人も。ハマる人はハマるし、ハマらない人はハマらないという作品でしょう。

しかし、あくまでも京アニというブランドを意識したうえでの評価です。ブランドを意識せずに見れば、また評価が変わるでしょう。

『Free!』シリーズ

『Free!』シリーズは、水泳を通して男子高校生の青春を描いた作品です。『ツルネ』と同じく、「京都アニメーション大賞」第2回で奨励賞を受賞した『ハイ☆スピード!』を原案に制作されました。

『Free!』は水泳ということもあり、水を描いた場面が多くそのクオリティは「さすが京アニ」と思わせる美しさです。しかし、『Free!』シリーズは、男子高校生の青春を描いているので、登場キャラクターは男性ばかり。いわゆる女性向けの作品です。そのため、評価が別れており、女性向け作品が苦手な人は見られないでしょう。

しかし、女性向け作品が好きな方には、おすすめの作品です。京アニクオリティは健在なので、作品の美しさに引き込まれるでしょう。

京都アニメーションの現在

京アニは、現在も『小林さんちのメイドラゴン』や『響け! ユーフォニアム』などがヒットしている一方、『Free!』の大ヒットをきっかけに、『ツルネ』などの女性向け作品も話題になっています。

少し前は「萌えアニメ」や女子高生主体の「男性向け」作品が多かった京アニですが、今後は男性向け・女性向けを問わず多くの作品が作られるでしょう。

今後の作品は、2023年8月4日公開の『特別編 響け!ユーフォニアム ~アンサンブルコンテスト~』や、2024年放送予定の『響け!ユーフォニアム 久美子3年生編』を予定しています。

まとめ

本記事では、アニメーション制作会社の京都アニメーションについて徹底解説しました。

京アニは、2000年代以降の日本のアニメ文化を語るうえで外せない存在です。今後も、京アニクオリティですぐれた作品を生み出し、日本のアニメ文化を引っ張っていくでしょう。

京アニがどんな作品を制作していくのか、今後も楽しみですね。

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この記事を書いた人
林星来(@seira_hayashi)

プロフィール文:2023年より本格的にWEBライターとして活動中。幼い頃にたまたま見た深夜アニメをきっかけにアニメオタクの道へ。ジャンルを問わず放送中のアニメから過去作まで毎日アニメを見ています。人生で最も影響を受けた作品は『コードギアスシリーズ』。

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