ラブコメに変化が起きている!?ネオラブコメとは

皆さんが視聴する漫画、アニメ作品において好きなジャンルはありますか?

爽快なアクションが魅力のバトルモノや、緻密に作られた世界観が魅力のSFモノなど、それぞれ好みがあると思います。

その中で、昔から一定の人気を誇る王道ジャンルの1つとして「ラブコメディ」があります(以下ラブコメ)。

ラブコメとは主人公と、登場する異性の日常とそれによって移り変わる恋愛模様を描いた作品で、アニメ作品だけでなくドラマや映画も含めると、今までラブコメに触れたことがないという人はなかなかいないでしょう。

ラブコメは少年向け・青年向けに作られる男性向け作品から、女性向けに作られる作品など多数存在します。

ツンデレ幼馴染とその友人のお淑やかな女の子と主人公を取り巻く三角関係や、パンをくわえて道を走っていると曲がり角で転校生とぶつかるなど、ベタと言われるいわゆる「王道パターン」がいくつも確立されているジャンルでもあります。

そんな中、最近男性向けラブコメにある変化が起きていることをご存知でしょうか?

今年公開されたアニメ「彼女もカノジョ」や「君のことが大大大大大好きな100人の彼女」などの作品はそうしたテンプレ展開を真っ向から否定するラブコメ作品となっています。

歴史を辿ってみると、そうした作品は突然現れたわけではなく、そうした予兆があったことに気づきます。

本記事では、そんなラブコメ作品の変遷、変化について解説していきます!

そもそもラブコメって何?

ラブコメという言葉は当たり前に使っている言葉ですが、具体的にどういった内容のものをラブコメというのでしょうか。

なんとなくポップな印象があり、ギャグ要素が多めで笑いをベースにしているというイメージが強い人が多いと思います。

最もわかりやすく定義されていたのがWikipediaだったので、下記に引用します。

作品のジャンルの1つであり、恋愛を主題にしたコメディ(喜劇)要素を持つ明るい作風のストーリー作品の日本での総称。
漫画、アニメ、小説、演劇、映画、ドラマなど多岐にわたる分野でラブコメディものがあり、ラブコメと略されて呼称されることが多い。
日本でいうラブコメディはシチュエーション・コメディの要素を積極的に取り込み、現実にありそうな日常の設定の一部分を極端に逸脱した状況を仮想設定した上で、主人公と、恋仲になるヒロインとの恋愛関係に焦点をあて、毎回異なった状況下で周囲を巻き込んだ事件や混乱が繰り返されるドタバタ喜劇(スラップスティック・コメディ)的要素の強い作品が主流を占める。
「コメディ」とあるように本来ラブコメディと称される作品はギャグ的要素の強いスラップスティックコメディやシチュエーションコメディをベースとする作品を指していたが、実際には様々な他のジャンルとかけ合わせられたり、ギャグ・コメディ要素は薄くても明るくストーリー性ある青春活劇をベースとする作品まで、幅広く「ラブコメディ」と呼称される。

恋愛や明るさ・ハッピーエンドという要素を含んでいるという点では共通しており、少しでもこれらの要素が含まれていればラブコメディの範疇に含める場合もある。
コメディ要素の強めなラブコメディには、パロディとの親和性も高いものもある。

ラブコメディ – Wikipediaより引用)

恋愛を題材にした作品としてジャンル分けすると細分化され、ラブストーリー・ラブロマンスと呼ばれる作品もあります。

ざっくりと分類すると、

ラブストーリー:一般人が感情移入しやすい、感動的なストーリーであることが多い。日本作品に多く、少女漫画作品や純愛小説に代表される。

ラブロマンス:一般人が憧れるような舞台や現実的でない舞台・劇的な展開であることが多い。海外ドラマ・映画作品が多い。

ラブコメに分類される作品は、恋愛をテーマにしつつもコメディ要素が多いという特徴があります。

少年漫画・青年向け漫画にラブコメが多いのも、真剣な恋愛模様、純愛モノを楽しむ女性に対して、男性は日常的なコメディメインの作風を求めつつアクセントとして恋愛描写を楽しむ傾向があるといえます。

ラブコメの歴史

ラブコメの歴史を紐解いていくと、ラブコメというジャンルの先駆け的な作品は週刊マーガレットで1969年に連載された「おくさまは18歳」が挙げられます。

ドタバタ喜劇展開が多い恋愛作品で、ラブコメの典型的なスタイルを生み出した作品であるといわれています。

その後、週刊少年サンデーの「うる星やつら」、少年ビッグコミックの「みゆき」などの「高橋留美子作品」と呼ばれるものや、同じく少年サンデーの「タッチ」に代表される「あだち充作品」が登場します。


© david production/高橋留美子

© グループ・タック/あだち充

ラブコメという言葉が広まったのはこの頃で、「みゆき」が連載時に「衝撃度ナンバー1ラブコメ!」と銘打たれ、それがきっかけで一般にラブコメという言葉が使われるようになりました。

THE・ラブコメ!王道ラブコメの展開ってどんなもの?

ラブコメとは恋愛を主題とした喜劇的な要素を持つ作品という定義ですが、作品によってスポーツ要素であったり、SF要素だったりと他の要素が融合している場合も多いです。

野球×ラブコメ「タッチ」や、SF×ラブコメ「うる星やつら」などが代表です。

メインテーマは別にある作品で、明るい雰囲気を付けるためにラブコメ的な要素を加える形も多く、ラブコメ作品の汎用性の高さが伺えます。

続いて、少年漫画やライトノベル作品でいわゆる「王道ラブコメ」と呼ばれる作品について紹介していきます。

「主人公と正ヒロインとなる女の子がいて、始めは距離間がある中で次第に惹かれあっていく。
そこにサブヒロインが現れ主人公との距離を縮めていく。
サブヒロインの存在によって、正ヒロインの気持ちに変化が訪れ、自身の気持ちに気づく。
そして主人公と正ヒロインが結ばれるー。」

ラブコメのテンプレといわれるような展開です。

またラブコメでありがちな舞台設定としては、高校生くらいの年齢で学校生活を中心にストーリーが進むことが多いです。

これは単純に話を展開する上で学校を舞台にした方がイベントを起こしやすいということが挙げられます。

日常生活を喜劇的に描くのは難しいですが、学校生活を舞台にすれば文化祭・体育祭・修学旅行とイベントが目白押しです。

ラブコメでよくある展開としては、ハーレムものとよばれるものもあります。

主人公1人に対して複数の女の子が好意を寄せて、主人公を取り合う構図になる展開です。

前述の王道展開にサブヒロインが複数いる展開です。

ヒロインが複数いても最終的には正ヒロインと結ばれる形が多いですが、中には1人を選ぶ描写がなくそのままハーレム展開のままドタバタの日常が続いていく、という感じで締めて終わりとなる作品もあります。

王道ラブコメの登場人物の設定としては、家が近所の幼馴染・力を持った生徒会役員や風紀委員・なぜか中高生で1人暮らしをしているといった設定がありがちです。

これらも基本的にはイベントを起こしやすくするための舞台設定の1つですね。

朝起こしに来てくれる幼馴染、といった描写もよく見かけるものではありますが、現実にそんな経験をしたことがある人はほとんどいないでしょう。

展開として幼馴染の方が出会いのきっかけなどを語る必要がない、また子供の頃から知っているからお互いに惹かれあう描写を自然に描きやすいという都合があり、そのイベントの1つとして朝起こしに来る、という展開がテンプレ化したと考えられます。

ラブコメの中にも様々なジャンル!ハーレムものとは?

ここまでラブコメの王道といえる展開について解説してきました。

しかし、ここ最近のラブコメ作品には、変化が訪れてきています。

2019年にアニメ化された「五等分の花嫁」、2023年にアニメされた「女神のカフェテラス」を紹介します。

この2作品は、主人公と複数のヒロイン(この2作品は5人のヒロイン)が主人公に惹かれて、取り合うような構図ではあるのですが、これまでの王道展開とは一線を画した描写があります。

それは冒頭の1話で主人公が1人のヒロインと結ばれる結末が描かれるのですが、その結ばれたヒロインが5人の内の誰かが読者にはわからないという描写をします。

ハーレムもののよくある展開は、正ヒロインが中心ではあるものの、基本的には主人公が煮え切らない態度を取り全員に気があるような態度を取ります。

全員にチャンスがあるように話が進んでも、主人公との間に直接的な進展は起こらないことも多いです。

これは恋愛を主題にしている以上、主人公との関係に進展が起こると急速に物語が進んでしまうからです。

そのためハーレムもののラブコメ作品の主人公は、始めは女の子慣れしていなかったり、一途であるという設定があっても、徐々に女たらしの優柔不断なキャラクターとなりがちで、読者・視聴者からも嫌われがちになってしまいます。

対して「五等分の花嫁」「女神のカフェテラス」は冒頭からただ1人を選ぶことが明示されていることもあり、主人公のキャラ設定がブレず1人1人のヒロインと向き合うような展開が描かれることが多いです。

またこの2作品に共通しているのは正ヒロインが誰かわからないことです。

5人のヒロインはそれぞれ同じ立場で登場し、選ばれる1人の存在もぼかされていて誰かわかりません。

それぞれが平等な展開で主人公と関係を深めていくため、誰が正ヒロインとして最終的に主人公と結ばれるのかがわからないのです。

ネット上では「ヒロイン予想レース」ともいわれていて、そうしたバラエティ的要素も作品の魅力となっています。


© 手塚プロダクション/春場ねぎ

© 手塚プロダクション/瀬尾公治

予想できない展開!ネオ・ラブコメの登場!

また、ハーレムもの作品の中に最近現れた新ジャンルがあります。

それは第1話から主人公が彼女に対して二股を公言するというとんでもない展開です。

物語の序盤からぶっ飛んだ展開で、ラブコメの中でもギャグ要素が強いことが特徴です。

2021年にアニメ1期が放送され、2023年に第2期も放送されている「カノジョも彼女」と、同じく2023年にアニメ放送されている「君のことが大大大大大好きな100人の彼女」を紹介していきます。

カノジョも彼女


© 手塚プロダクション/ヒロユキ

主人公・向井直也はずっと幼馴染の佐木咲に思いを寄せていて告白を繰り返しながらも断られ続けていました。

そんな中高校入学をきっかけについに受け入れられ念願の彼氏・彼女の関係となります。

しかしほどなくしてもう一人の少女・水瀬渚が登場し、直也に告白をします。

当初は咲がいることから断ろうとしていた直也でしたが、渚の魅力に心を動かされ、悩みぬいた挙句三者合意での二股交際・両親が不在にしている自宅での3人での同居を提案します。

当然猛反対する咲でしたが彼女もまた渚のいじらしさと直也の真っ直ぐな思いを受け止め渋々提案を受け入れる、正々堂々とした二股交際が始まることから物語が始まります。

ずっと本心では二股に反対する咲を納得させられるのか、さらに渚以外にも直也に思いを寄せる少女が現れて3人に関わってくるという物語です。

君のことが大大大大大好きな100人の彼女


©バイブリーアニメーションスタジオ /中村力斗・野澤ゆき子

中学卒業までに100人の女性に振られていた主人公・愛城恋太郎は、卒業式の日に神様からお互いが好きでたまらなくなる運命の人が100人いることを告げられます。

高校生になった恋太郎は早速2人の運命の人と出会い、その2人から告白をされます。

浮かれる恋太郎ですが、運命の人と出会った人間はそれだけで人生において大きな幸福を使ってしまう、

運命の相手と結ばれることが出来なければ色々不幸な目にあった後に死んでしまうことを神様から教えられます。

2人の好意だけでなく命まで天秤にかけることになった恋太郎は、二股を隠し通す選択肢も思いつきますが、恋太郎の答えは正々堂々と2人と同時に付き合うことを宣言することでした。

恋太郎は最大限の誠意を示し、晴れて3人は同時に付き合い始めます。

しかし恋太郎の運命の人はあと98人います。

次々と出会う運命の人と付き合い続ける、今まで見たことがないラブコメが始まります。

本作はパロディネタも多く、次々と現れる女性キャラと付き合い続けるシュールな展開が続く、コメディ色が強い作品です。

ハーレムものでは複数登場する女性キャラに、主人公が心揺れる描写が描かれることが多いですが、紹介した2作品は主人公の勢いが凄く、揺れるどころか堂々と二股(以上)をするラブコメです。

倫理的には許されない展開ではありますが、真剣な恋愛描写よりもギャグに寄った作風だからこそ許されているという面はありますが、これまでにはなかった設定の作品です。

今までは当然1人の女性を選ぶまでの過程を描くのが普通で、交際という形は1つのゴールとして描かれていて、結ばれて付き合い始めたら物語が終わるというパターンが主流でした。

作品として話を引き延ばす目的もあり、主人公は優柔不断で答えを決めかねるようなキャラクターになりがちで主人公が嫌われがちであることが課題でもありました。

しかし、この2作品はそもそもこれまでのラブコメとは視点もゴールも全く異なっていて、二股という初めから悪印象な行動をするからこそ、他の面では誠実で真っ直ぐな勢いのあるキャラクターとして描かれることが多く、むしろこれまでのラブコメ主人公よりも好印象なキャラ設定になっているのです。

番外編 伝説のラブコメ作品「School Days」をご紹介!

これまでの記事の中で今までのラブコメと新しいモデルのラブコメの変遷に触れてきましたが、番外編的な伝説のラブコメ・「School Days」について解説していきます。

本作は美少女ゲームが原作で、2007年にアニメ化された作品です。

原作の美少女ゲームは様々なルート分岐があり、ハッピーエンドから、中には凄惨なバッドエンドもあるのですがアニメの最終回はアニメオリジナルで描かれ、そのうえでトップクラスに残酷なラストとなっていて、今なお語り継がれる作品になっています。

あらすじ

主人公・伊藤誠は同じ通学電車に乗る桂言葉のことが気になっていて、ある「おまじない」をしているのを学校の隣席の西園寺世界に見られてしまいます。

事情を知った世界は、誠と言葉の関係を取り持ち2人はめでたく交際するようになります。

しかし2人の関係はすれ違いの連続で、誠は徐々に、助言をしてくれる世界に欲情するようになります。

世界もまた隠していた誠への気持ちを抑えられず、遂に彼と肉体関係を持ってしまいます。

世界と肉体関係を結んだことをきっかけに誠は言葉から世界に乗り換えるも、諦められない言葉の接触により一転また言葉と関係を持ったりと二転三転していきます。

その一方で誠はそれがきっかけで理性のタガが外れ、世界以外にも複数の女の子と肉体関係を持ち始めます。

物語終盤、世界から妊娠したことを打ち明けれられ、誠と世界は校内で居場所を失います。

引きこもってしまった世界は誠が戻ってくることを期待しますが、弱った誠は言葉とヨリを戻してしまいます。

そして誠から堕胎を提案されたことをきっかけに、ついに逆上した世界は誠をメッタ刺しで刺殺してしまいます。

誠の遺体を発見した言葉は、誠のスマホを使って死んだはずの誠を装い、世界を学校の屋上へ呼び出し殺害します。

そして世界の腹をくり抜き「赤ちゃんなんていないじゃん、嘘つき」と呟きます。

そして切断した誠の頭部を抱えながらヨットで海の彼方へと消えていきました。

エピローグでは誠・世界・言葉のいない世界で何事もなかったように普通の学生生活を送る登場人物達が描かれ、怒涛の展開からは想像がつかないほどの穏やかな雰囲気のまま物語は終わります。

主人公・誠のとんでもないクズっぷりに昼ドラでも描かれないほどの泥沼恋愛描写話題となりましたが、この作品は最終回が放送休止になったことがより伝説たりえる理由になりました。

最終回は公式な発表こそありませんでしたが、放送日である前日に発生した殺害事件の影響によって地上波での放送が全局で休止され、そのまま実質上の打ち切りとなりました。

最終回が放送されないという異例の事態に視聴者からは不満の声が挙がりましたが、その後この最終回がネットで配信されてからは「こんな最終回は地上波で流せない」と視聴者を納得させてしまうほどの凄惨な展開でした。

その後、他のラブコメ作品でも煮え切らない態度を取ったり、クズと言われるような行動をしたキャラに対しては誠を引き合いに出してクズっぷりをまとめられるなど、誠は有名なネットミームと化しています。


©ティー・エヌ・ケー /オーバーフロー

ラブコメの歴史と変遷 受ける作風が変わってきている!

ここまでの記事でラブコメ作品の推移について解説していきました。

ラブコメというジャンルとしてざっくりと理解はしていて、楽しんでいましたがいざ調べてみるとしっかりとした定義が存在し、物語を作る上での必要な舞台設定として描かれているのだと再認識しました。

時代の流れか、若者が求めるコンテンツ自体が変わってきていて、TikTokやYouTubeショートなど短く楽しめるもの、テンポ感が良いものが求められる傾向もあります。

そうした流れもあり、最近の作品はラブコメ作品に限らずテンポや勢いがあり引き延ばしなどなく短くまとまった構成の作品が増えていることも、ラブコメの変化に繋がってきているのだと思います。

メディアの立ち位置自体が変わってきているため、今まで流行っていた構成と違うものが増えてくることも予想されます。

今後またラブコメ作品に限らずどんどんと新しい要素を加えた作品たちが生まれてくると思いますので、楽しみに待っていましょう!

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この記事を書いた人
FS19

田舎住み登山・キャンプが趣味のアクティブオタク。 ジャンルを問わずアニメ・漫画を楽しむ。 ここ最近アニメだけでなく声優にも手を広げ着々と沼にはまっている。

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