隠れた名作!「彼方のアストラ」を紹介!

彼方のアストラは、2016年~2017年に週刊少年ジャンプの派生のアプリとして現在でも人気の「ジャンプ+」で連載されていた漫画です。

作者の篠原健太さんは前作でアニメ化もされた学園コメディ「SKET DANCE」を手掛けた人物で、自身にとって2作目の連載作品でした。

前作と全く毛色の違う作風で、前作を知る読者からは連載当初から驚かれましたが、数多くの伏線が散りばめられた質の高いSF作品に仕上がっています。

また現在週刊少年ジャンプで連載中の「ウィッチウォッチ」も2022年に発表された「次にくるマンガ大賞2022」コミックス部門で2位を獲得しており、その実力は折り紙つきです。

本記事ではそんな「彼方のアストラ」のアニメの魅力の数々を解説していきます!

「彼方のアストラ」は物語を読み進める毎に伏線が回収され、様々な謎が解き明かされていく作品で、本記事では前半部分に明かされる部分については記事内では触れます。

なので少しのネタバレもしたくない!という方はぜひアニメ視聴後に本記事を改めて読んでみていただくことをオススメします!

彼方のアストラはどんな話?あらすじを簡単に紹介!

西暦2063年、大自然の中で、ランダムに組み合わされた生徒だけで惑星旅行をして5日間を過ごすという惑星キャンプを行うことになった主人公であるカナタたちケアード高校の生徒、B5班のメンバーたち。

目的地である惑星マクパにて、謎の球体に襲われた生徒たちは宇宙空間に投げ出されてしまいます。

運よく宇宙船を発見し一命を取り留めた生徒たちでしたが、無線は壊れており救助は頼めない、航行するエネルギーは確保できたものの、自分たちが5012光年も離れた距離にいて、しかも食料は3日分しかないという絶望的な状況であることを突きつけられます。

誰もが諦める中、B5班のメンバーたちは食料とエネルギーが存在する星を5つ渡っていけば帰還することができるという可能性に辿り着きます。

生徒たちだけで5つの星を巡って5000光年もの旅路を行うという前途多難な旅路でしたが、アストラと刻印された宇宙船をアストラ号と名付け、全員が協力し合うことで様々な困難に立ち向かっていきます。

また、宇宙船を調べると無線は壊れていたわけではなく壊されていた、しかもその形跡は新しいことが分かります。

その事実が示すことは、この遭難は事故ではなく人為的に引き起こされた事件であること、またメンバーの中にそれを実行した人物がいるということでした。

果たしてカナタたちは無事に帰還することができるのか、また裏切り者のメンバーは誰なのか?

そしてアストラ号に秘められた秘密とは…様々な謎が展開と共に明かされていくSF冒険物語です。

B5班員のメンバー紹介!個性的なメンバーが揃う!

カナタ・ホシジマ CV.細谷佳正

本作の主人公です。

陸上十種競技の選手で、高い身体能力が特徴的です。

父はプロ陸上選手で、父から大きな期待を寄せられ厳しいトレーニングをしていました。

中学生の時に課外授業の登山中に遭難事故を経験し、生徒だけで7日間を生き延びましたが、その際に日頃からカナタを励ましてくれていた恩師を失い、顔に傷を負ってしまいます。

その遭難事故をきっかけに宇宙探検家を目指しサバイバルのノウハウを身に着けます。

メンバー顔合わせの際にキャプテンに立候補するものの気合いが空回りし周りに呆れられてしまいます。

しかし、謎の球体に襲われた際に瞬時にメンバーにマスクを付けることを指示したり、宇宙空間に投げ出され、宇宙船に逃げ込むために必要な機器の故障で苦しむアリエスを自らの危険を省みず助けに行ったりと行動力と決断力を見せ、キャプテンと認められます。

冒険の中でリーダーとして成長する姿、また普段はお調子者ですが頭は切れ、今回の遭難事故の不可解な点について次々と解明していきます。

カナタ・ホシジマ
© 篠原健太/Lerche

アリエス・スプリング CV.水瀬いのり

本作のヒロイン&もう1人の主人公です。

物語の語り手で、航海日誌という形で、物語のエピローグも自身の視点で物語を記し語ります。

朗らかで明るいキャラクターで、メンバーのムードメーカーです。

ピンクの髪に、右目がヘーゼル、左目がグリーンの特徴的なオッドアイの外見をしています。好奇心と食欲が旺盛で天然な性格ですが、映像記憶能力を持ち一度見たものは映像として記憶し続けることが出来ます。

また惑星を経由して食糧と燃料を補給しながら帰還することを提案するなど要所で機転を利かせる場面もあります。

謎の球体に襲われ宇宙空間に投げ出された時や、ピンチの時に駆け付けてくれるカナタに対して好意を抱くようになります。

アリエス・スプリング
© 篠原健太/Lerche

ルカ・エスポジト CV.松田利冴

お調子者な性格の小柄な体格で、一人称はオイラで、語尾に「っす」をつける特徴的な話し方をします。

誰とでも積極的にコミュニケーションを取ることができ、始めは周囲から浮いていたユンファやウルガーも、ルカとだけは会話をしていました。

父親は上院議員ですが実子でないという背景があり、またIS(インターセクシャル)という性別が判別しずらい身体的特徴を持つことが途中で明かされます。

ISであることで自身のアイデンティティについて悩んできたルカでしたが、過酷な旅の中の経験と、B5班のメンバーとの関わりを通して「オイラはオイラだ」という人生観に辿り着きます。

ルカ・エスポジト
© 篠原健太/Lerche

シャルス・ラクロワ CV.島﨑信長

生物に関する知識が豊富で、金髪緑眼のイケメンです。

しかし生物のこととなると我を失い、未知の生物を見つけたときの反応で周囲をドン引きさせてしまうこともありました。

料理も得意でメンバーの食事を担当していました。

カナタとザックからスパイでないかと疑いを懸けられた際に、実はヴィクシア王政地区という現存する貴族階級の地域の生まれで、平民であるセイラという女の子と仲良くしていましたが自身の不用意な行動で彼女を昏睡状態に陥らせてしまい、それからは親と絶縁して出奔していると打ち明けます。

シャルス・ラクロワ
© 篠原健太/Lerche

キトリー・ラファエリ cv黒沢ともよ

金髪とヴァイオレットの瞳、褐色の肌が特徴の少女です。ザックとは家が隣同士の幼なじみでした。

家は病院で、本人も跡を継ぐために医学を専攻していて、その知識を活かしメンバーの救護を担当していました。

当初は遭難に対してヒステリックになったり、メンバーに対して素っ気ない態度を取っていましたが、義妹のフニシアをカナタに助けられたことをきっかけに仲間として行動するようになっていきます。

キトリー・ラファエリ
© 篠原健太/Lerche

ザック・ウォーカー CV.武内駿輔

IQ200を誇る青い瞳が特徴で、科学者志望です。

偶然にも宇宙船の操縦免許を持ち、アストラ号の操縦士を担います。

船のジャンクパーツで可食判定機を作ったり、壊れたスーツを修理したりと機械的な知識も豊富で、この旅において重要な役割を果たします。

仲間を生き延びさせるため、常に冷静でいることが自身の役割だと考え実践していました。

普段から何を考えているかわからない無表情なので、キトリーからの恋愛感情に気づかない鈍感な男と仲間から認識されていましたが、キトリーから告白をされた際に「俺達、結婚するんだろ。」と無表情で返答します。

ザックは子供の頃の結婚の口約束をずっと覚えていましたがキトリーは子供の約束なのでノーカンだと思っていたのです。

感情が分かりづらいキャラクターですが、キトリーのことは本気で好いています。

ザック・ウォーカー
© 篠原健太/Lerche

フニシア・ラファエリ CV.木野日菜

キトリーの義理の妹です。

金髪とヴァイオレットの瞳、褐色の肌の女の子で、一人称は「フニ」です。

キャンプに際してB5班に課せられた、「10歳の少女を同行させる」という課題によってメンバーとして参加したという経緯で、思っていることをアニメキャラの喋りで再生するパペット人形のビーゴを肌身離さず持ち歩きます。

メンバーが使用する「了解」の合図である「アイ・イェー!(Aye, yeah!)」は、ビーゴのセリフからきています。

キトリーの母であるオリーヴは、フニシアを引き取った経緯は亡くなった友達の一人娘で、児童養護施設から引き取って養子にしたと説明していました。

当初は義姉キトリーとはギクシャクした関係でしたが、惑星ヴィラヴァースのトラブルを機に姉妹の絆を得ます。

フニシアが養護施設に入所した夜に、園長とサングラスの男性が「ビーゴニーレテイッセーサショブン」と話していたのを聞いたとカナタとザックに話します。

フニしシアは自身が持つ人形のビーゴのことだと勘違いしていましたが、実は「B5に入れて一斉殺処分」だとカナタが気づき、B5班員の遭難が何者かの陰謀によるものだということを知るきっかけとなります。

フニシア・ラファエリ
© 篠原健太/Lerche

ユンファ・ルー CV.早見沙織

黒髪でブラウンの瞳、眼鏡をかけた長身の少女です。
右の口元の艶ぼくろが特徴です。

引っ込み思案であまりコミュニケーションを取らず、自分が皆の役に立っていないという劣等感に苛まれていました。

母親はルーシー・ラムという有名な歌手で、本人も歌が大好きでしたが母親から「お前は目立つな」と言われ続けたことが原因で内気な性格になってしまいました。

しかし、立ち寄った惑星の固有の植物による毒に苦しむ仲間たちをユンファの歌で癒したことにより自信を取り戻し、ルカに頼んで髪型をボブカットにして伊達メガネを外してイメチェンし、以後は笑顔でメンバーと話すことも増えました。

将来は歌手になりたいと後に語ります。

ユンファ・ルー
© 篠原健太/Lerche

ウルガー・ツヴァイク CV.内山昂輝

ニット帽を被り片目が前髪で隠れている少年です。

態度は尊大で皮肉屋で、「うるさい黙れ」が口癖で、中盤まで他のメンバーとあまり関わろうとしませんでした。

父親はケアード高校の教頭ですが、優秀な兄と比較され幼い頃から疎まれながら育ったため周囲に心を閉ざすようになってしまいます。

唯一ウルガーに優しく接してくれ、慕っていた兄が死亡したことをきっかけに、キャンプ参加まで復讐のために生きることを誓っていました。

復讐のために銃の訓練をしていたため銃射撃、弓が得意です。

ウルガー・ツヴァイク
© 篠原健太/Lerche

ポリーナ・リヴィンスカヤ CV.生天目仁美

惑星イクリスという場所でアストラ号(アーク12号)と同型の宇宙船(アーク6号)でコールドスリープ状態になっていた宇宙飛行士のロシア人女性です。

メンバーからは「ポリ姉」と呼ばれます。

コールドスリープ開始時の年齢は28歳で、隕石により地球が滅亡の危機に瀕したために移住先の惑星を見つけるため、惑星探査の任務を行っていました。

しかし惑星イクリスに住む生物に襲われたことでメンバーが全滅し、1人救助を待ってコールドスリープしていました。

カナタたちによって救助され、以降の旅に同行します。

同じ言語、似た外見のB5班員をみて地球が滅亡を回避したのだと安堵します。

ポリーナ・リヴィンスカヤ
© 篠原健太/Lerche

彼方のアストラの作品に秘められた秘密とは?大きな謎を2つ紹介!

B5班員のメンバーは個性が強すぎる?フニが聞いた「一斉殺処分」の真意は?

遭難事故に見舞われたB5班員のメンバーの紹介を行いましたが、このメンバーはやけに個性が強いメンバーが集まっています。

  • カナタ : 陸上十種競技で将来を期待される陸上選手
  • アリエス : 映像記憶能力を持つ
  • ルカ : 珍しいISの性別を持つ
  • シャルス : ヴィクシア王政地区、貴族地域で生まれ育った過去
  • キトリー : 医者の親を持つ
  • フニシア : 医者であるキトリーの親の養子となる
  • ザック : 科学者の父を持つ天才、操縦士の資格も持つ
  • ユンファ : 母は有名な歌手
  • ウルガー : 父はB5班員のメンバーが通うケアード高校の教頭

これらそれぞれの個性を活かすことによってB5班の旅での様々な困難に立ち向かっていきます。

フィクションなのでキャラクターに個性を持たせるためだと自然と受け入れてしまいますが、実はこの情報は物語の謎に大きく関わってきます。

衝撃的な真実に繋がってきますので、ぜひ本作をご覧になってみてください。

B5班の中に裏切者がいる?物語の中にヒントは散りばめられていた!

B5班員が逃げ込んだアストラ号にて、連絡を取るための無線は人為的に切られていて、その切断面は新しく、間違いなくB5班の中にそれを実行した人物がいることがザックが気づき、そのことをカナタにだけ教えたことが物語の序盤で明かされます。

旅の中で皆がそれぞれ生き残るために協力し、始めはピリピリしていた空気も幾度もの困難を乗り越えることで次第に心を開いていくメンバーの中に裏切者がいるなんて、観ている立場からしても想像がつきません。

そうした葛藤は、混乱を招かないように誰がスパイかもわからない中で皆に明かすことが危険と判断し、警戒しながら注意深く行動していたカナタとザックにもありました。

本当に裏切者がいて、この遭難を引き起こしたとするなら、相手は皆を宇宙空間に放り出した謎の球体を持っているという恐怖もあります。

本作はSFの冒険物語ですが、宇宙船という閉ざされた空間で裏切者と共同生活をするという点では「クローズド・サスペンス」というジャンルにも分類され、少年漫画らしい仲間との旅だけでない楽しみ方をすることも大きな魅力です。

おわりに まとめ

本記事ではSF冒険物語である彼方のアストラについてまとめてきました。

原作マンガの連載終了から6年、アニメの放送からは4年が経過した本作ですが未だにファンの中では語り継がれている隠れた名作です。

話が続いていくと、どんどんと衝撃的な事実が明かされていき、のめり込んで一気に観てしまう作品です。

設定は王道のSF物語で、観やすいジャンルであり完結までも短く1クール分(12話構成)で観ることができますので、ぜひ視聴してみてください!

彼方のアストラの作品情報

作品名 彼方のアストラ
ジャンル SF、冒険、ミステリー
放送形態 TVアニメ
放映時期 2019年7月3日~9月18日
アニメーション制作会社 Lerche
キャスト
  • カナタ・ホシジマ:細谷佳正
  • アリエス・スプリング:水瀬いのり
  • ザック・ウォーカー:武内駿輔
  • キトリー・ラファエリ:黒沢ともよ
  • フニシア・ラファエリ:木野日菜
  • ルカ・エスポジト:松田利冴
  • ウルガー・ツヴァイク:内山昂輝
  • ユンファ・ルー:早見沙織
  • シャルス・ラクロワ:島﨑信長
  • ポリーナ・リヴィンスカヤ:生天目仁美
主なスタッフ
  • 監督:安藤正臣
  • シリーズ構成:海法紀光
  • キャラクターデザイン/メイン総作画監督:黒澤桂子
  • サブ総作画監督:山本由美子
  • メカデザイン:有澤 寛
  • プロップデザイン:本多弘幸
  • 宇宙生物デザイン:廣瀬智仁
  • 助監督:柴田裕介
  • 美術監督:甲斐政俊
  • 美術設定:虎 順、羽根広舟
  • 色彩設計:多田早希
  • 撮影監督:酒井淳子
  • CGI:ラークスエンタテインメント
  • CGディレクター:加藤大輔
  • 2Dデザイン:いまむら
  • モニターデザイン:山田可奈子
  • 編集:宮崎直樹
  • 音楽:横山 克、信澤宣明
  • 音楽制作:KADOKAWA
原作 コミック/篠原健太 (集英社ジャンプ コミックス刊)

© 篠原健太/集英社・彼方のアストラ製作委員会

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この記事を書いた人
FS19

田舎住み登山・キャンプが趣味のアクティブオタク。 ジャンルを問わずアニメ・漫画を楽しむ。 ここ最近アニメだけでなく声優にも手を広げ着々と沼にはまっている。

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